南米で初めて開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を前に、ブエノスアイレスはテロやデモ対策で厳戒態勢だ。だが、軍政時代から41年以上続く「母親たちのデモ」は、開幕直前の29日にもいつも通り行われた。
地元紙によると、軍や警察などが2万5千人規模で警戒。大統領府周辺などは立ち入りが厳しく制限されており、車や人の行き来はほとんどない。
アルゼンチンが軍政時代だった1977年から続く母親たちによるデモは、この日が2120回目。軍事独裁政権に反政府活動家などとみなされて子どもを誘拐された母親たちが、大統領府前の5月広場に集まり、無言で歩き続けたのが始まりだ。抗議の意思を示し、子どもたちの居どころを明らかにすることを求めてきた。「5月広場の母たち」と呼ばれ、毎週木曜にデモを続けてきた。
「母親たちの会」のエベ・デボナフィニ会長(89)はインターネットに「この42年間、デモをしなかったことは一度もない。誰も私たちを止められない」と話す動画を投稿した。(ブエノスアイレス=岡田玄)