トランプ米大統領は8日、ホワイトハウスで記者団に、ホワイトハウスの職員を統括するジョン・ケリー大統領首席補佐官について「年末に辞める」と明言した。元海兵隊大将として混乱するホワイトハウスに軍の規律をもたらすことを期待されたケリー氏だが、トランプ氏や同氏の側近との衝突が絶えず、就任から約1年半で姿を消すことになった。
トランプ氏は記者団に「ケリー氏はまもなく去るだろう。『引退』となるのかは分からないが、彼は偉大な人間だ」とも語った。後任については「一両日中にも発表する」と述べるにとどめた。米メディアは、ペンス副大統領の首席補佐官を務めるニック・エアーズ氏が就任する可能性があると伝えている。
ケリー氏は、トランプ政権が発足した2017年1月に国土安全保障長官として入閣。昨年7月に、プリーバス前大統領首席補佐官の後任としてホワイトハウスに入り、無秩序だった政権運営に一定のルールを作った。
トランプ氏の執務室に、一部の側近や家族が自由に出入りしたり、電話したりしていたのを規制し、ケリー氏の承認が無ければ出来ないようにした。参加する幹部の人数を絞った会議を増やした。
また、政権内で対立をもたらしていたとされる極右メディア「ブライトバート」出身のバノン首席戦略官やゴルカ大統領副補佐官(国家安全保障担当)らを次々と更迭。辞任した幹部を「偏執狂」などと批判していたスカラムッチ広報部長をわずか10日で解任して、指導力を発揮した。
側近からトランプ氏に吹き込まれる意見を減らすことで、ケリー氏は「大統領がベストの判断を下せるように、大統領に伝える情報の流れを統制する」(17年10月の記者会見)ことに力を注いだ。また、トランプ氏のツイッターでの放言を抑制することも狙った。
ただ、就任直後には、バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義団体と反対派が衝突した事件に絡み、トランプ氏が「白人至上主義グループにも良い人はいる」などと擁護する発言。その様子をうつろな目で眺めるなど、ケリー氏の統率力の限界も見えた。
今年4月にはNBCニュースが…