産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長は、民間出身の取締役全員の辞任を表明した10日の記者会見で、対立する経済産業省との詳細なやりとりを示しながら、自身の解任も辞さない構えをみせていた経産省を痛烈に批判した。明らかになったのは、糟谷敏秀官房長ら経産省側の政府内における調整不足。経産省はJICの立て直しをめざすが、道のりは険しい。
JIC社長「経産省と信頼回復、難しい」 辞任会見
「ケンカまさ」JIC社長 辣腕交渉「離席ぐらい普通」
「我が国の将来のためにと志した目的を実務的に達成することが困難になった」。田中氏は、民間出身の取締役9人の辞任理由をそう説明した。
田中氏は、昨年10月に経産省に設けられた「リスクマネー研究会」の委員。実質的に新たな官民ファンドのあり方を議論した研究会で、その担当局長が糟谷氏だった。田中氏は研究会の報告書を「バイブル」と呼び、「仮に報酬1円でも(JICの社長に)来た」と説明した。糟谷氏から社長就任を打診されたのは昨年暮れだったという。
田中氏が糟谷氏から初めて報酬…