産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長ら民間出身の取締役9人が辞任することを受け、世耕弘成経済産業相は11日の閣議後会見で、2019年度に予定していたJICへの1600億円の追加出資を見送ることを明らかにした。今夏に財務省に示した財政投融資の要求を全額取り下げる。
「1円でもJIC社長」が…辞任招いた経産省の調整不足
「ケンカまさ」JIC社長 辣腕交渉「離席ぐらい普通」
高額報酬問題を発端に経産省と対立していたJICは10日、取締役11人のうち、経産、財務両省出身の2人をのぞく9人が辞任を表明。事実上の「総退陣」となる異例の事態になった。世耕氏は会見で「経営陣が実質的に不在になるなかで、新たな予算要求はふさわしくない」と述べた。
もともとは、9月に旧産業革新機構からJICに改組したのを機に、財務基盤を強化して民間資金の「呼び水」にする狙いがあった。世耕氏は「JICを来年春までにしっかりと立ち上げ、その時点で必要があれば、予算上の対応を改めて考えたい」と話した。
また、世耕氏は田中氏の後任人事について「基本は民間で、投資分野で経験のある方が大原則になる」と述べ、民間企業出身者からの起用を検討する方針を示した。(西山明宏)