米主要テレビ局の一つ、CBSの取締役会は17日、セクハラ疑惑で9月に辞任したムーンベス元会長兼最高経営責任者(CEO)について、「契約解除に足る理由がある」として退職手当を支払わないことを決めた。米メディアによると、同氏は1億2千万ドル(約136億円)の手当を受け取るはずだった。
ムーンベス氏はプロデューサーとして数々のドラマをヒットさせ、1995年のCBS入り後も敏腕を発揮。業界でも最高給の一人だった。
女性の権利を守る#MeToo運動の流れで、ムーンベス氏からセクハラや性的暴行を受けたとする女性12人の告発を米誌ニューヨーカーが報道。辞任に追い込まれた同氏が高額の退職手当を受け取る可能性があることに批判が出ていた。
ムーンベス氏は「性的関係はすべて合意の上のもの」と疑惑を否定しているが、CBSは外部の弁護士に依頼した調査で「不当な行為や、会社方針、雇用契約に関する違反があった。調査にも全面的な協力に応じなかった」と断じた。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、調査報告書は同氏の女性らとの不適切な関係を指摘。公表しようとした女優に対し、ドラマ出演を約束することで公表を控えるよう働きかけた、としている。(ニューヨーク=鵜飼啓)