大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会代表)と大阪市の吉村洋文市長(同政調会長)が公明党幹部らに対し、大阪都構想の協議が進まない場合、来春の統一地方選前に辞職して同日選に臨む意向を伝えたことがわかった。都構想の是非を問う住民投票の早期実施の鍵を握る公明の協力が得られないと判断すれば、出直し選で信を問う構えだ。
都構想は、大阪市を廃止して東京23区のような特別区に再編する制度改革。住民投票について維新は来年2月までに府、市両議会で都構想案をまとめ、周知期間を経て来年夏の参院選と同日で実施する方針。ただ両議会で過半数に足りないため、都構想案の議決には公明の協力が不可欠だ。
関係者によると、松井、吉村両氏ら維新幹部と公明府本部の佐藤茂樹代表(党選対委員長)らが21日に会談。維新側は協力を求めたが、公明側は従来通り参院選後の実施を主張し、物別れに終わった。席上、松井氏は吉村氏とともに辞職する意向を伝達。出直し選を府議、市議選のある来年4月7日にぶつける考えも伝えた。
維新は現在の議会構成の間に都構想案をまとめなければ、改選後に議論が白紙に戻りかねないと懸念しており、早期の住民投票実施を目指している。今回、出直し選に言及することで、統一選前に批判の矢面に立たされるのを警戒する公明との交渉を優位に進める狙いがあるとみられる。
さらに松井氏は24日、記者団に公明側と会ったことを認めたうえで、26日までに都構想案とりまとめに前向きな回答がなければ、過去の水面下の協議内容を明らかにすると表明した。自身の辞職については「ありとあらゆる選択肢がある」と述べた。
維新幹部は朝日新聞の取材に対し、「住民投票について公明側と交わした密約文書がある」と説明。公明側から協力をとりつける内容で、維新側は早期の住民投票実施を担保するものだとしている。
維新と公明が折り合わず、知事、市長が来春の出直し選に踏み切って再選した場合、任期は公職選挙法の規定によって現在の任期の来年11月~12月まで。(楢崎貴司、吉川喬)