「これは人道的危機だ。心の危機、魂の危機だ」
8日午後9時(日本時間9日午前11時)、テレビ画面は金色のカーテンの前に座る真剣な表情のトランプ米大統領を映し出した。
メキシコ国境を越えて入国する不法移民の問題を「国家の危機」と位置付け、約9分の演説で「危機」という言葉を6回使った。不法移民が殺人、違法薬物の密輸、人身売買などの犯罪を繰り返していると主張。「国境で人道上、国家安全保障の危機が高まっている」と語り、国境の壁の必要性を訴えた。
大統領が執務室から「ゴールデンタイム」に全米中継で演説をするのは異例だ。トランプ氏の演出の狙いは、不法移民を「国家の危機」とあおることで、国境の壁建設は、トランプ氏の熱狂的な支持層のためだけでなく、全国民にとって必要なものだとアピールすることにあるとみられる。
熱狂的支持層の失望を警戒か
トランプ氏を支える与党・共和…