南米コロンビアの首都ボゴタにある警察学校で17日午前、自動車が爆発し、少なくとも10人が死亡、54人がけがをした。コロンビア政府はテロ事件と断定。ドゥケ大統領は「団結してテロに立ち向かう」と語った。2016年の左翼ゲリラとの和平合意成立で治安改善が期待されたコロンビアだが、再び混乱が広がる恐れもある。
政府発表などによると、17日午前9時半ごろ、男が運転する四輪駆動車が警察学校の門に接近。警察犬が異常に気づいたため警察官が近づくと、車は猛スピードで検問を突破して爆発したという。車は80キロの爆弾を積んでいたとみられるという。
事件現場を訪れたドゥケ大統領は「これは警察に対してだけでなく、社会全体へのテロだ。すべてのコロンビア人はテロを拒絶する」と演説した。
運転していた男は、ホセ・ロハス・ロドリゲス容疑者(56)で、現場で死亡が確認された。現地紙によると、容疑者はベネズエラ国境近くの出身。左翼ゲリラ・民族解放軍(ELN)の影響が強い地域だ。
ロドリゲス容疑者とELNの関係は不明だが、18年8月に就任したドゥケ氏は「ベネズエラがゲリラを支援している」として、ELNとの和平交渉を昨年9月に打ち切っていた。
コロンビアでは16年、当時のサントス大統領が中南米最大の左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)との停戦に合意。半世紀続いた内戦に終止符を打った。だが、ドゥケ氏はこの停戦合意の見直しも主張している。
事件を受け、合法政党に移行したFARCは声明を発表し、「犠牲者とその家族に連帯する。すべての勢力に、平和を構築する和平合意にとどまるよう呼びかける」と訴えた。(サンパウロ=岡田玄)