東証2部上場の自動車用ホースメーカー「ニチリン」(本社・神戸市)が大阪国税局の税務調査を受け、2017年までの5年間で約4億1千万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。うち約6千万円は重加算税の対象となる所得隠しと認定された。追徴税額は約1億6千万円で、すでに納付済みという。
関係者によると、所得隠しとされたのは、課税対象となる「資産」として計上された自社での「設備製作費」の一部。国税局は、同社が機械の製作にかかる賃金や加工時間を実際より低く計上することで、資産を少なくみせていたと判断したという。
このほか所得隠しと認定されなかったが、同社と子会社の間で出向する従業員の人件費などの分担について、同社の負担割合が多すぎるとの指摘もあったという。同社は「見解の相違があったが、指摘に従った」としている。
有価証券報告書や信用調査会社などによると、同社は国内外に15の子会社があり、17年12月期の連結売上高は約593億7千万円、経常利益は約86億円で、5期連続で最高益を更新した。自動車用ホースなどのゴム製品を製造し、特に二輪車用のブレーキホースでは国内シェアの大半を占めている。(大部俊哉)