名古屋城の木造新天守の建築にからみ、名古屋市は30日、城のシンボルの「金の鯱(しゃちほこ)」(金シャチ)を、木造化に合わせて新たにつくる案を同市の有識者会議に示した。メンバーからは「今ある金シャチを使えばいい」との指摘があり、市は再検討する。
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市は、この日開かれた、新天守の構造に関する「天守閣部会」で、実測図や写真を根拠とした二つの復元案を提示した。ヒノキか青銅で作ったシャチの体を金のウロコで覆う工法で新しい金シャチをつくるとした。あわせて、1959年の現天守再建時につくられた金シャチについては、城近くの観光エリア「金シャチ横丁」に整備する施設に移すとの考えを伝えた。
しかし、有識者の多くは、市が示した復元案を疑問視。「戦後の再建は名古屋城の歴史の一つで、(金シャチにも)文化的価値がある」「経費も安くなる。使えるのなら使うべきだ」など、現存の金シャチを再利用するよう求める声が相次いだ。ただ、今の金シャチの構造では、市がめざす「史実に忠実な復元」に反する可能性があるといい、市は慎重に検討する考えだ。(関謙次)