米俳優ジャシー・スモレット氏が訴えていた憎悪犯罪(ヘイトクライム)被害が狂言だった可能性が浮上し、シカゴ市警は20日、虚偽通報の疑いで同氏が検察に訴追されたと明らかにした。被害が伝えられた際、著名人や有力政治家らが憎悪犯罪を批判しており、その後の展開に戸惑いが広がっている。
アフリカ系のスモレット氏はテレビドラマ「Empire 成功の代償」への出演で知られ、同性愛者であることを公言している。同氏はシカゴで1月29日未明、マスクをした2人組の男に襲われ、同性愛者であることや人種を蔑視する罵声を浴びせられ、首に縄をかけられたなどとして警察に届け出ていた。
警察は現場とされる場所近くの監視カメラの映像を頼りにいったんナイジェリア出身の兄弟を拘束したが、嫌疑なしとして釈放。この兄弟はスモレット氏の知り合いとされ、CNNは2人が警察の調べに対し、同氏から金をもらい、自作自演に加担したと供述したと報じていた。スモレット氏側はこれまでのところ、狂言との指摘を否定している。(ニューヨーク=鵜飼啓)