シャンプーやボディーソープなどを入れる紙製容器を、凸版印刷が開発した。プラスチック製の従来品に比べ、石油由来の原料を約75%減らせるという。風呂場で使う場合、紙の容器は底の浸水が課題だったが、作り方の工夫で克服した。
今月から、日用品・化粧品メーカーなどにサンプル品の出荷を始めた。価格をプラスチック容器とほぼ同じ水準にし、来年秋ごろには商品として店頭に並べるのが、凸版印刷の狙いだ。
耐水性や鮮度を維持するためのフィルムや口栓部分、ポンプはプラスチック製。これも今後、植物などを原料にするバイオプラスチックに切り替える考え。
紙容器は、底面の紙の端から水がしみ込み、時間がたつとカビが生えるなど、衛生的にも課題があった。
新容器は、上下2枚の紙を貼り合わせ、空気を入れてふくらませて立体化する作り方を採用した。その結果、底面には紙の切れ目が無くなった。
開発者の1人、佐々木規行さん(51)は「発想を転換するのがまず大変だった」と話す。飲み物用など、内側から水が漏れないようにする紙パックはあるが、その延長線で考えがちだったという。凸版印刷では現在、パックを立体化する機械づくりを進めている。
海に流出するプラスチックごみが、世界的な問題になっていて、「脱プラ」のニーズが高まっている。凸版印刷には食品や医薬品業界などからも、問い合わせが来ているという。(伊沢友之)