IHIが民間航空会社から請け負っている旅客機用ジェットエンジンの整備の工程で、資格のない社員に検査をさせていたことがわかった。国土交通省は航空法違反の可能性もあるとして立ち入り検査し、調査している。石井啓一国交相は5日の閣議後会見で「誠に遺憾。今後必要な行政処分などの検討をすすめる」と述べた。
国交省によると、1月10日にIHIの瑞穂工場(東京都瑞穂町)に立ち入り検査をし、不正が見つかった。航空機のエンジンは、定期的に分解・検査し、必要に応じて部品の修理や交換をしており、同工場は航空法に基づく整備事業場の認定を受け、国内外の航空会社から年100台以上の整備を請け負っている。
IHIは航空法施行規則に従って「確認主任者」と呼ばれる品質管理の責任者を置いているほか、社内規定で資格を定めて各工程に資格者を配置している。今回は、社内で定めた資格を持っていない社員に一部の検査をさせていたという。
同社は5日、「不適切な事象が判明したことは事実。現在、詳細な調査を進めている」とのコメントを出したが、国交省に対しては、安全性に大きな影響はなく回収・修理の必要はないと説明しているという。
同社に整備の一部を委託している全日空や日本航空、ジェットスター・ジャパンに対しても、「安全性に問題はない」などと説明があったという。フジドリームエアラインズもIHIに整備を委託している。