日立製作所に無期雇用への転換を求めた40代の女性社員が解雇を通告された問題で、女性が加入する社外の労働組合と日立が29日、2回目の団体交渉をした。労組側は改めて解雇の撤回を求めたが、日立は今月末で解雇する意向を変えず、この日の団交も物別れに終わった。労組は「違法な解雇権の乱用だ」として再び団交を開くよう求め、解雇の撤回を重ねて要請する方針だ。
女性社員が入る「電機・情報ユニオン」の米田徳治・中央執行委員長らが団交後に東京・霞が関の厚生労働省で記者会見し、「無期転換を申し込んだら、狙い撃ちにされて解雇された。人権無視も甚だしい」と日立を批判した。日立の中西宏明会長が昨年から会長を務める経団連などに対し、解雇の撤回に向けた要請行動をする意向も明らかにした。
女性社員も会見場に姿を見せ、「法律に従って無期雇用が認められると思っていた。解雇通告を受けてびっくりした」と話した。
有期の雇用契約を繰り返し更新して通算5年を超えると、無期雇用への転換を求めることができる。「5年ルール」と呼ばれ、改正労働契約法で認められた労働者の権利だ。女性社員は2018年6月にルールに基づいて無期転換を申請したが、日立は今年2月、事業の縮小を理由に3月31日付での解雇を通告した。
中西氏は29日、経団連会長としての定例記者会見で、「真相はわからないが、不当なことをやってはいけない。しっかり対処してくれと言っている」と述べたが、2回目の団交でも解雇の方針は覆らなかった。日立は「19年4月以降の雇用は厳しいと、16年の時点で伝えていた。配置転換先を探したが見つからなかった。違法性はないと考えている」(広報)としている。
女性は日立で派遣社員として約…