米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県が行った埋め立て承認の撤回処分に対して防衛省が行政不服審査を請求していた問題で、石井啓一国土交通相は5日、「(沖縄県の)撤回処分には理由がない」として処分を取り消す裁決を同日付で行ったと発表した。石井国交相は昨年10月末に承認撤回の効力を停止しており、これで最終的な判断が確定するが、県側の反発は必至だ。
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
県は昨年8月、環境保全対策の不備などを問題視して埋め立て承認を撤回した。これに対し、防衛省は昨年10月、行政不服審査法に基づいて効力停止を申し立て、石井氏は「緊急の必要」にあたるとして効力停止を決めていた。
県が指摘する埋め立て区域の軟弱地盤について、石井氏は今回、安定性を確保して工事を行うことが可能との鑑定結果が出たことなどを踏まえ、「要件を欠くに至ったとは認められない」と判断したという。岩屋毅防衛相は5日、閣議後の記者会見で「軟弱地盤の課題はあるが、実績のある一般的な工法で安定的に施工できることを認めていただけた」とし、「工事を安定的に施工できるように努力したい」と述べた。(田中美保、東岡徹)