重工大手IHIの航空機エンジン整備での検査不正問題で、国土交通省は9日にも、航空法に基づいて同社に業務改善を勧告する方針を固めた。今後、不正が起きないよう検査態勢の見直しを求める。エンジンの安全性については、問題がないとするIHIの説明を認める見通しだ。
IHIによると、同社瑞穂工場(東京都瑞穂町)で、国交省の認定をとった過去2年分のエンジン整備で無資格者が検査していたなどの不正が計211件見つかった。海外向けの分も含めると、計6340件で不正が見つかっている。3年以上前にさかのぼって調査しており、不正件数はさらに増えるとみられる。
また、IHIは8日、航空機エンジンの部品製造でも過去2年間で7138件の検査不正があったと発表した。不正があったのは、エンジンに空気を取りこむ羽根状のブレードや、その土台部分となるディスクと呼ばれる部品。出荷先の米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)といったエンジンメーカーには、社内資格を持つ検査員が品質をチェックすると約束していたのに、訓練中の無資格者が実施していたという。相馬第一・第二工場(福島県)で6116件、呉第二工場(広島県)で801件、瑞穂工場で221件見つかった。
「指定された強度や性能は満たしており、安全性に問題はない」(広報)としており、部品の交換や補償はしない方針。法令には違反しておらず、3年以上前の調査はしないといい、満岡次郎社長らが記者会見して説明することもなかった。(高橋諒子、贄川俊)