大阪府の吉村洋文知事は、大阪市の田中清剛(せいごう)副市長(68)を副知事に起用する方針を固めた。同じ道府県内の政令指定市の現職幹部が退職し、副知事に就任するのは極めて異例。「二重行政の解消」を掲げて大阪都構想を推進する吉村氏と松井一郎・大阪市長は、今回の人事で「バーチャル大阪都」を体現する狙いだ。
府・市の幹部によると、吉村氏は竹内広行副知事(63)が日本国際博覧会協会に出向するのに伴い、後任に田中氏を起用することを決めた。府議会の5月定例会に人事案を提出する見通しだという。
7日投開票の府知事・大阪市長のダブル選で大勝した吉村、松井両氏は、ともに都構想を掲げる大阪維新の会幹部。副市長の田中氏を副知事に起用することで、府・市の連携をさらに強化していく考えだ。
田中氏は吉村氏が大阪市長時代の副市長で、JR大阪駅北側の「うめきた」再開発などを主に担当。2025年大阪・関西万博の開催を控え、田中氏が市域で進めた都市開発政策を府域全体に広げる狙いがある。(坂本純也、吉川喬)