ポンペオ米国務長官は17日、キューバ革命後に資産を接収された米国民が、その資産を利用して活動する外国企業を相手取って損害賠償訴訟を起こすことを認める、と発表した。ベネズエラのマドゥロ政権を支えるキューバへの圧力を強める狙いだが、米メディアによると、欧州連合(EU)などは「国際法違反」と反発している。
こうした訴訟を起こすことのできる法律は1996年に成立したが、歴代の米政権は欧州各国などとの関係に配慮し、事実上棚上げしてきた。ポンペオ氏は記者会見でキューバを「独裁国家」と呼び、「在イスラエル大使館のエルサレム移転やイランの革命防衛隊の外国テロ組織指定と同様、現実を認めた。キューバでビジネスをする個人や企業は注意すべきだ」と語った。
国務省によると、接収された資産の申し立ては約6千件あり、資産総額は利息も含めて80億ドル(約9千億円)に及ぶとみられる。多くはキューバ系米国人という。キューバに自国企業が進出しているEUやカナダなどは「第三国の企業に米国内法が適用されるのは国際法違反」と反発している。(ワシントン=渡辺丘)