2016年の米大統領選にロシアが介入したとされる疑惑で、マラー特別検察官がまとめた報告書は、「ロシア政府とトランプ陣営との複数の関係を特定した」と指摘した。今後のトランプ大統領の政権運営にどう影響するのか、米国の識者に聞いた。
リチャード・ペインター氏
ミネソタ大教授(元ホワイトハウス倫理担当弁護士)
トランプ大統領がここまで捜査の中止に執着していたことに驚いた。連邦捜査局(FBI)のコミー長官を解任したように、マラー特別検察官の解任を、何度も試みていたというのは衝撃の事実だ。
マラー氏は司法妨害疑惑について訴追すべきかの結論を出さなかったが、そもそも現職の大統領を訴追できるのか、誰も明確な答えを持っていない。バー司法長官は「大統領はいかなる容疑でも訴追されない」との考えを持っており、彼が長官を務める限り、トランプ氏の訴追はないだろう。
ただ、選挙戦への介入疑惑について、トランプ陣営は、ロシアの意図を知っていたうえ、それを止めようとしなかった。報告書では、トランプ氏、ロシアの双方と関係を持っていた米国人が明らかになっていない。ホワイトハウス内にまだ、国家安全保障上の脅威になりうる人物がいるかもしれないということだ。
今後は議会の役割が重要になる。まず、トランプ氏を弾劾(だんがい)すべきかを、しっかり見極めねばならない。また、報告書には黒塗りの部分があまりにも多い。機密情報を扱う資格のある議員は、裁判所に許可を求めて開示させるべきだ。(聞き手・藤原学思)
■ロナルド・ウェ…