トランプ米政権と朝鮮半島の非核化をめぐる協議を進めてきた北朝鮮が4日、日本海に向けて「飛翔(ひしょう)体」を相次いで発射した。自国の体制を引き締め、完全非核化を迫る米国を牽制(けんせい)する狙いとみられる。ただ、飛行距離は最長200キロと短く、北朝鮮は米国の対応をみて「次の一手」を決める作戦とみられる。
北朝鮮の軍事に詳しい韓国・慶南大学の金東葉教授は、飛翔体の発射は改良型300ミリ多連装ロケット砲の試射とみる。射程は最長200キロ。南北軍事境界線の近くに配備すれば、韓国北部の在韓米軍基地も射程に入り、米韓両軍にとっては脅威だ。金氏は「米朝関係も南北関係も停滞する中、軍の引き締めを図る狙い」との見方を示した。
2月の2回目の米朝首脳会談が物別れに終わって以降、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は米国へのいら立ちを隠さなくなった。4月25日にロシアのプーチン大統領と会談した際は、「朝鮮半島情勢は危険領域」と語り、米国が完全非核化を迫る姿勢を続ければ、北朝鮮は核・ミサイル実験を再開する可能性も示唆した。
一方で、4月12日に最高人民会議で行った演説では、トランプ米大統領とは「立派な関係を維持している」とし、「今年末までは忍耐をもって米国の勇断を待つ」と表明した。
韓国峨山政策研究院の申範澈・安保統一センター長は「正恩氏は米国の反応を見極め、長距離弾道ミサイル発射をちらつかせるなど挑発の度合いを今後高める可能性がある」とみる。(ソウル=武田肇)
トランプ政権は今のところ「(事態を)注視し続ける」(ホワイトハウス)と冷静に受け止めている。
トランプ大統領は昨年6月の米朝首脳会談以降、正恩氏に融和的な姿勢を見せてきた。最大の理由は、北朝鮮が核実験とミサイル発射をしておらず、トランプ氏はそれを「外交成果」として国民にアピールすることができたためだ。
ただし、北朝鮮が今後も飛翔体の発射を続ければ、トランプ氏がどう動くかはわからない。元国防副次官補のアブラハム・デンマーク氏はニューヨーク・タイムズ紙に「今回のテストはトランプ氏がどの程度まで寛容でいられるかを試すものだろう」と語った。
トランプ氏は4日午前、「彼(…