脱毛用の医療レーザー機器を、扱う資格のない職員に使わせて患者にけがを負わせたなどとして、埼玉県警は9日、同県戸田市にあるクリニック「さかい皮膚科」の男性院長(74)を業務上過失傷害と保健師助産師看護師法違反(無資格者による診療補助行為)の疑いで書類送検した。機器を操作した元職員4人も同法違反容疑で送検した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、院長は2015~17年、40代の女性ら4人の足や腕に脱毛施術をする際、無資格の女性職員らに計16回、レーザー機器を使わせたほか、15年12月には無資格の職員による施術で40代の男性の顔にやけどを負わせた疑いがある。同皮膚科では15~17年に約900人にレーザー脱毛の施術をしていたという。
厚生労働省によると、レーザー機器による脱毛は、医師か、医師の指示を受けた看護師ら資格者しかできない。しかし同院で施術した職員らは、こうした医師や看護師などの資格者ではなかったという。
院長の弁護人は9日、朝日新聞の取材に「コメントすることはありません」と話した。(高絢実、山口啓太)
やけどの男性「いまだに悔しい」
「効果がなかったことに加え、レーザーでやけど痕も残った。二重のコンプレックスを抱えてしまった」
院長が業務上過失傷害などの疑いで書類送検されたさかい皮膚科で施術を受け、顔にやけどを負った埼玉県戸田市の40代男性は肩を落とした。
「ヒゲが濃い」とからかわれ、あごが青黒く見える自分の写真が気になりだしたのは20代。エステサロンで美容脱毛も経験したが思った効果は得られず、医師によるレーザー脱毛を求めて2015年、同皮膚科の扉をたたいた。期待に胸を膨らませて施術を受けたが「たばこの火を押しつけられたような強い痛み」に襲われ、やけどを負った。
「じきに治る」。院長はそう言うだけで、やけどの痕は消えなかったという。院長に損害賠償を求めて裁判も起こした。「やけどを負った悔しさはいまだに消えません」
日本美容医療協会(東京)の鈴…