女子アームレスリングの全国大会で7連覇中の選手が、地元・大阪市生野区にアームレスリングのジムを開いた。女性専用で、体を動かすだけでもいい。運動経験なしの主婦から、日本一になった自身の経験をもとに、「女性が一歩を踏み出すきっかけの場にしたい」と話す。
アーケードの下に食料品店や衣料品店が軒を連ねる生野銀座商店街。水曜の夜、その一角にある「ZERO(ゼロ)―腕(わん) 大阪」では、トレーニングウェアに身を包んだ女性たちが思い思いに汗を流していた。ランニングや腹筋などのマシンが並ぶ25平方メートルほどのジム内で、目を引くのがアームレスリングの競技台だ。
オーナーはオールジャパンアームレスリング選手権大会の女子ライトハンド無差別級の王者、足利紫津子さん(45)。「来ていただいたら、アームレスリングはお誘いします。でも、走るだけ、体を鍛えるだけでもOK!」と話す。
足利さんがアームレスリングを始めたのは30代だった。子どもの頃から運動は得意で、学校で受けた体力測定テストの成績はいつも良かった。腕相撲は負け知らずで「力は誰にも負けへん」。でも、学生時代はずっと帰宅部。そんな自分に「もったいない」という気持ちをずっと抱えていた。
就学前の長男と長女の子育て真っ最中だったある日、テレビでアームレスリングの大会を知った。思い切って出場すると入賞した。「細い人が大きい人を倒すこともある奥深さ」のとりこになった。
「全日本チャンピオンという肩書を持った人生を、歩んでみませんか?」。大会で足利さんを見た元世界王者の宮本真治さんから掛けられた言葉も、やる気を後押しした。
総合格闘技の道場に通い始め、月に1度は岡山県に住む宮本さんを訪ねて指導を仰いだ。1年後の2012年、オールジャパンアームレスリング選手権大会に初出場し、初優勝。以来、王座に君臨し続け、昨年7連覇を成し遂げた。
ジムを開いたのは今年1月。そ…