韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決に絡み、韓国政府が、訴訟を続ける原告らについて、新たな財団を設けて経済的に救済し、法廷外で解決する案を検討していることが日韓関係筋の話でわかった。大法院の確定判決に被告企業が従うことを前提にするという。ただ、日本政府はこの案を受け入れない考えだ。
関係筋によると、検討案は、韓日議員連盟が文在寅(ムンジェイン)政権に示した提案がもとになっている。被告の日本製鉄(旧新日鉄住金)と三菱重工業が、確定判決を得た原告32人に利子を含む約27億ウォン(約2億5千万円)を賠償するのが前提だ。係争中の他の原告926人や提訴に至っていない一部の元徴用工らに対しては、韓国政府が財団を設けて経済面で支援。裁判によらない解決を模索するという。
一連の元徴用工訴訟では今後も、大法院判決に沿って日本企業を敗訴とする判決が続くことが想定されている。さらに、日本政府が外交協議による解決を困難と判断し、1965年の日韓請求権協定に基づく第三国を交えた仲裁手続きに入ることを韓国に要請するなど事態が深刻化している。
文政権は今回の検討案で、係争中の原告らへの対応を分離することによって日本企業の負担を限定し、司法判断に従うよう促す狙いがあるとみられる。この方針には、原告側も一定の理解を示しているという。
文政権はこれまで、司法判断を…