シャープは11日、みずほ銀行と三菱UFJ銀行が保有する優先株を全て買い入れて消却すると発表した。シャープは経営危機だった2015年6月、銀行からの借入金を優先株と交換する手法で、金融支援を受けた。優先株が無くなることで、経営再建は正式に完了することになる。
優先株の取得金額は970億円で、全額自己資金でまかなう。シャープが発行した優先株は計20万株。1月に9万2千株分を851億円で取得しており、今回は残る10万8千株を1株あたり約90万円で買い取る。取得日は6月21日。
シャープの優先株は議決権がないかわりに、普通株に比べて配当が高い。また7月には普通株に転換できる権利が発生し、すべて普通株にかわると、株式総数が約2割増える。親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が持つシャープ株の比率が下がることで、影響力が薄まる可能性があった。
シャープは昨年6月、公募増資で約2千億円を調達し優先株の買い入れに充てるといったん公表。だが、その後株価が低迷して、増資を断念した経緯がある。(米谷陽一)