大阪堂島商品取引所(大阪市)で試験上場中の「コメ先物取引」が、存亡の危機に立たされている。農家にとってはコメの値下がりリスクを抑えられる取引だが、農協側の反発が強く、取引量も低調なためだ。試験上場の期限を8月に控え、「上場継続」を求める農家らが17日、農林水産省に要望書を提出した。
先物取引は、農家と流通業者らが事前に価格を決め、最長1年後に収穫するコメを売買する。農家は計画を立てやすく、秋に豊作などで値下がりしても予定通り収入を得られる。コメ販売の自由化の流れなどを受けて2011年に72年ぶりに認められた取引だが、以来、試験上場が2年ごとに3度延長されてきた。
要望書は、全国30以上の大規模農家らが連名で提出。「新潟ゆうき」(新潟県)の佐藤正志社長は「販売先のチャンネルの一つとして、コメ先物市場を残してほしい」などと話した。
試験上場はあくまで、恒久的な「本上場」が必要かを見極める期間だ。堂島取引所は2年前、一度は本上場を申請したものの、土壇場で試験上場に切り替えた。取引には商品先物業者らも参加することから、全国農業協同組合中央会(全中)や自民党が「投機の対象になり、価格が乱高下する懸念がある」などと反対したためだ。
堂島取引所は今回も本上場をめざしている。国が定める本上場の認可基準は「十分な取引量が見込まれる」「生産・流通を円滑にするために必要かつ適当」の2点。具体的な取引量は示されていないが、昨年のシステム改修をめぐるトラブルもあり、足元では1日あたりの量が1千枚程度(枚は売買の最小単位。新潟コシヒカリで1枚=1・5トン)と、2年前より減っている。
このため堂島取引所は、本上場だけでなく、「試験上場の継続」も視野に入れる。どちらかを7月上旬までに農水省に申請する構えだが、4度目の試験上場は「テスト期間としては長すぎる」(関係者)として、市場継続を不安視する見方もある。(生田大介)