上野動物園(台東区)のジャイアントパンダ、シャンシャンが、12日で2歳になった。誕生日を記念したグッズの販売やイベントに多くのファンが集まり、観覧は最大3時間待ちとなるなど、園内はお祝いムードに包まれた。
動物園の前には、午前9時半の開園前に1千人ほどの長い行列ができた。園内のギフトショップも人気で、2歳を記念して作られたスマホケースは早々に売り切れ、ぬいぐるみやTシャツもよく売れたという。
さらに、シャンシャンのフンの標本を並べたイベントも開催。フンは「健康のバロメーター」と言われ、色や大きさの変化から成長を感じてもらおうという狙いだ。一角ではジャイアントパンダのフンのにおいを嗅ぐこともでき、鼻を近づけた女性(46)は「ちょっと抵抗があったけど、食事の大半はタケやササとのことで、お茶の出がらしみたいな香りでした」と振り返った。
シャンシャンは2歳で中国に渡る取り決めだったが、中国側との交渉の結果、返還期限は2020年末まで延期された。埼玉県川口市から訪れていた女性(52)は、シャンシャンの公開が始まった以降の1年半は週に1度の来園を欠かしていない。「見た目だけじゃなく、しぐさも可愛い。癒やされます」
園によると、誕生日に合わせて「ケーキはあげないのか」といった問い合わせが寄せられた。だが、園には約360種の動物がおり、「どの動物も平等に」(担当者)として用意しなかったという。中国に渡る具体的な時期や観覧終了のタイミングは今後、さらに協議していくという。(西村奈緒美)
「いい顔立ち」トークショーで元園長
シャンシャンが2歳を迎えた12日、東京都台東区の松坂屋上野店で、日本パンダ保護協会会長で上野動物園元園長の土居利光さんと、上野観光連盟の二木(ふたつぎ)忠男会長の記念トークショーが開かれ、約200人が参加した。
土居さんは「飼育はかなり苦労したと思う。抱き癖がついて片方の乳首からずっと吸わせてしまう。飼育担当が心配して反対側の乳首に連れて持っていっても親が戻しちゃう。ただシャンシャンが自分から行ったときには何もしなかった、と飼育担当が言っていた。好奇心も旺盛で、動くものにすごく興味がある。親とじゃれることでいろいろ覚えていく。順調に育っていて良かった」と振り返った。「シャンシャンは顔が丸い。いい顔立ちをしていると思う。戻るのはちょうどお見合いするのに良い時期」。
二木会長は「二年は本当に早かった。今後、パンダ舎が移る予定で、街と非常に近づく。街とコラボしたイベントを組んでいこうと思う。私にとってシャンシャンは孫みたいなもの。一年半延長して何より良かった」と語った。(青木美希)