(7日、高校野球滋賀大会 玉川7―6水口)
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「高校最後の打席になるかもしれない」。2点を追う水口の九回裏1死二塁での攻撃。4番の田村叶夢選手(3年)は緊張しながら打席に向かった。その際、クラスメートでボールボーイの高井悠宇君と目があった。「がんばってこい」と言われている気がした。
なぜだか緊張が和らいだ。振り抜いた打球は右翼手の前に落ち、意地の1点をかえすことができた。
昨夏はベスト8。今年はそれを超えた決勝進出を目標にしてきた。冬場に毎日400球を打ち込んで打撃に力をつけ、春の県大会前に4番を任された。
この日朝、球場に向かう直前に「緊張しているから」と高井君を誘って、学校周辺を散歩した。その際、高井君から「フルスイングして勝ってこい」と言われたという。
田村選手は「高井の言われた通りのフルスイングができた。悔いはありません」、高井君も「試合に出られない悔しさはあったけれど、最後に田村が打ってくれた。自分がやるべきことはできたと思います」と話して涙をぬぐった。(北川サイラ)