国連がこのほど発表した報告によると、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年のグローバル経済成長率はマイナス3.2%になることが予想され、世界貿易も15%近く縮小する見込みという。感染の拡大で、グローバルサプライチェーンは断裂の危機に直面し、産業チェーンが混乱に陥っている。産業チェーンとサプライチェーンの無秩序な状態に直面し、中国はどのように対応したらよいだろうか。これについて、中国国際経済交流センターの第128期経済毎月談(同センター主催の専門家会議)に参加した専門家が話し合った。中国新聞社が伝えた。
中国物流・調達連合会の蔡進副会長は、「現在、世界の産業チェーンとサプライチェーンは全体として無秩序な状態だ」とした上で、「感染症の影響下で、需給がともに低迷し、世界の多くの産業はサプライチェーンと産業チェーンが引き続き断裂した状況で、海上輸送や空の輸送などの物流が中断している問題も非常に目立つ」と述べた。
北京新世紀多国籍企業研究所所長を務める中国国際貿易促進委員会企業コンプライアンス委員会副委員長の王志楽氏は、「感染症の打撃の中、グローバル産業チェーンは今後の再編に直面している。グローバル産業チェーン・サプライチェーンは効率と利益を原則として構築されたものだが、今は多くの先進国が産業チェーンの『安全性』をより高い位置に引き上げている」と述べた。
同センターの張燕生チーフ研究員は、「グローバル産業チェーン・サプライチェーンに新たな特徴がみられるようになってきた」として、▽ますます多くの国が安全という視点からの産業チェーン・サプライチェーン配置をさらに重視するようになったこと▽政府の産業チェーン・サプライチェーンに関与する力が目に見えて上昇したこと▽国際産業チェーンの分業モデルが調整に直面していること▽企業の産業チェーン・サプライチェーンの配置がさらに短くなり、さらに弾力的になり、産業チェーンが長くなりすぎることによるリスクを避けようとしていること▽地域レベルの合意が産業配置によりはっきりとした影響を与えるようになること、を挙げた。
同センターの張暁強常務副理事長は、「このたびの感染症は中国の産業チェーン配置における一部の弱点を抱えた部分をあぶり出し、当面の急務は独自のコントロールがより可能で、安全性と信頼性がより高い産業チェーンの構築に力を入れ、産業チェーンの代替リソースの意識を増強し、国際的に優位性のある産業チェーンに対して、たとえば高速鉄道、電力設備、通信設備などに対して、引き続き競争力と品質を向上させ、優位性と地位を維持することだ。最近登場したEC、遠隔医療、テレワークなどの新技術、新業態、新モデルは強大な生命力をみせており、情報技術(IT)と実体経済との深い融合を模索し、新たな競争上の優位性を形成する必要がある」と述べた。
張燕生氏は、「打撃に直面しても、中国はぶれずに自分たちのことをしっかりやる必要がある。中国は需要サイドから着手して、強大な国内市場を促進し、中小企業の困難を解消し、内部の循環システムを構築し、消費と投資を拡大し、海外からの注文不足などの状況を緩和すべきだ。産業チェーンを安定させ、サプライチェーンをスムーズにし、バリューチェーンを引き上げ、全方位的協力に基づくイノベーションチェーンを構築する必要がある」と提案した。
王志楽氏は、「先進国が地政学的利益と共同の価値観を強化することを考えるようになり、今後はコンプライアンスの観点から中国企業への監督管理を強化するとみられ、感染症後のグローバル産業チェーンのこうした変化に直面して、中国は企業のコンプライアンスを積極的に提唱し、積極的に推進して、グローバル産業チェーンの再構築に対処すべきだ」と述べた。
蔡進氏は、「目下の産業チェーンの地域化・現地化は一時的なものであり、グローバル化の流れは引き続き不可逆だ。今後は共に話し合い、共に建設し、共に分かち合うグローバル化を積極的に提唱し、人類の運命共同体構築の内に含まれるものをグローバル化に融合させる必要がある」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年5月21日