甘粛省の敦煌研究院は今月9日の取材に対して、これまで約30年間「デジタル化」の道を歩み続け、世界文化遺産に登録されている敦煌莫高窟の洞窟230ヶ所以上のアーカイブが完了したことを明らかにした。これにより約3割の洞窟が「永久保存」、「永続利用」の目標を達成したことになる。中国新聞網が報じた。
現存する仏教遺跡としては世界最大規模で、最も豊富な文化財を誇る聖地・莫高窟は、1650年以上の歴史があり、洞窟の数は735ヶ所に上る。うち、保存状態が良く、壁画や粘土で作られ彩色された像・彩塑が残る洞窟が492ヶ所、壁画の面積は合わせて4万5000平方メートル、彩塑は2000体以上にのぼる。
洞窟内の彩塑や壁画はどれも粘土、木材、麦わらなどで作られているため、時間が推移し、見学客が増えるにつれて、その保護が大きな課題となっている。
莫高窟の劣化は不可逆的であるため、敦煌研究院は1980年代末から、「デジタル敦煌」構想を打ち出し、コンピューター技術やデジタル画像技術を駆使して、その文化財の永久保存と永続利用に取り組んできた。
一般的な文化財と比べると、敦煌石窟の壁画や彩塑のデジタル化は様々な課題を克服しなければならなかった。壁画全体をアーカイブしてコンピューターに取り込むためには、まず、大量の情報を集めなければならず、またその後、データを繋ぎ合わせてまとめ、保存するなどの作業は全て手作業で完成させなければならなかった。
1平方メートルの壁画をアーカイブするには通常50‐60枚の画像が必要で、一つの壁面のアーカイブには1000枚以上、大型の洞窟なら4万枚以上の画像が必要になる。中型の洞窟全体をデジタル化するには3ヶ月もの時間を必要とする。
敦煌研究院文化財デジタル化研究所の俞天秀・副所長によると、現在、デジタル化の成果は、考古学の測量、美術模写、保護、展覧・展示、さらに、インターネット文化の発揚など各種事業にも非常に幅広く応用できるとしている。
デジタル化技術を活用して、ファイルを立ち上げ、洞窟の文化財を保護することをベースに、敦煌文化を一般の人々にも楽しんでもらおうと、敦煌研究院は近年、テクノロジー企業との連携を加速させることで、デジタルリソースと敦煌学研究を最新のテクノロジーとリンクさせ、一連の革新的な手段を通して、敦煌文化を発揚し、中華文化をPRしている。
敦煌研究院の趙声良・院長は、「デジタル化により、保存できるだけでなく、パソコンの画面を通して拡大することもでき、実際の洞窟で見るより、はっきりと見ることができる。洞窟の場合、暗いため、見えないものもたくさんある。しかし、デジタル化された画像ならはっきりと見ることができる。現在、『敦煌のクラウド見学』のほか、たくさんのミニプログラムもあり、スマホやサイトを通して、ジャンル分けされた豊富な敦煌壁画のコンテンツを鑑賞することができる」と説明する。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年6月10日