米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と英国に本部を置くHSBCグループが17日に共同で発表した報告書「開放型貿易:10兆ドル」によると、世界各国の政府がグローバル貿易の活動を妨げる関税や非関税障壁を撤廃または軽減する行動を取らなければ、2025年のグローバル経済は保護貿易主義による損失が10兆ドル(約1045兆8千億円)にも達するという。中国新聞社が伝えた。
同報告書は、開放型貿易と保護貿易主義がそれぞれ世界の経済・貿易活動にもたらす利益・弊害について量的な形で比較検討を行っている。
同報告を作成した研究チームはモデルを通じて2つの状況におけるG20(主要20ヶ国地域)間の物品貿易往来を分析した。1つ目はグローバル貿易が高度に開放されルールに基づく方法で行われたと仮定した状況、もう1つは最大限の貿易制限、うち世界の平均関税率が上昇、持続的な貿易摩擦により発生した関税、貿易円滑化措置の削減などを含む貿易制限が存在すると仮定した状況だ。
同報告によると、貿易が高度に開放された状況において、グローバル貿易額は今後5年間で毎年2.0-2.6%増加し、世界のGDP(国内総生産)は毎年1.8-2.3%増加することになる。反対に制限の多い保護貿易主義が蔓延する状況の中では、グローバルの貿易額もGDP成長も停滞するという。指摘しておかなければならないのは、この研究は物品貿易のみを分析の対象としたことで、サービス貿易も計上すれば、開放型貿易が生み出す価値はさらに大きなものとなる。
BCGのラマチャンドラン取締役社長(シニアパートナー)は、「現在のグローバル経済が新型コロナウイルス感染症の打撃に直面する状況の中、今回の研究により、開放型貿易を推進すればグローバル経済とすべての国が利益を受け、そこから生まれる経済成長が世界各地に雇用機会をもたらすことが示された」と述べた。
HSBCグローバル貿易・融資業務のグローバル主管を務めるナタリー・ブライス氏は、「ポストコロナ時代の経済回復を推進する過程で、貿易に果たすべき役割を果たさせることが極めて重要だ。またより多くの開放的政策を打ち出すことは世界経済ができるだけ早く成長を取り戻すのにプラスだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年9月18日