これまでたびたび保護貿易主義の妨害を受け、さらに新型コロナウイルス感染症の打撃を被ったものの、中国が長年にわたる発展の中で形成してきた整った製造業システム、優れたビジネス環境、高い競争力を備えた要素の優位性が、短期間で他のものに取って代わられることはあり得ない。
海外の論調には習慣のように中国経済の悪化を唱えているものもあるが、今週中国で発表された一連のマクロ経済データによって、こうした破綻だらけの説は反論するまでもなく崩れ去ってしまった。
全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の生産額、物品輸出の前年同期比増加率が今年に入って初めてプラス成長を達成し、固定資産投資の累計増加率はプラスに転じる一歩手前にたどり着き、社会消費財小売総額は再び増加し始めた。中国経済の強靱な回復と期待を上回る業績は、グローバル経済におけるハイライトになっただけでなく、世界経済に低迷から抜け出すための原動力を注入した。
数多くのデータの中で、外資導入と対外直接投資のデータが注目を集めた。9月16日、商務部(省)をはじめとする複数部門が共同で、「2019年度中国対外直接投資統計公報」を発表した。そのデータによると、中国経済がモデル転換と発展を続けていることを受け、中国の対外直接投資はここ数年急速な伸びを実現した。19年の中国対外直接投資のフローは世界2位、ストックは世界3位だった。
これについて、「中国経済は『十分な資金がある』のに、なぜ政府はこれほど力を入れて外資導入を拡大しようとしているのか」と疑問の声を上げる人が必ずいる。周知の通り、資本とは流動することでより高い投資回収率を達成するものだ。中国経済は長年にわたり高度成長を続け、国内には十分な資本の蓄積があり、自ずと海外市場に投入してより大きな収益を得る必要が生じる。ある意味では、中国が改革開放初期の単純な外資導入から、現在の外資導入と対外投資が共に重視され同時進行で行われる状況へと変わったことは、まさしく中国経済がより高いステージに上ろうとしていることを示す重要な変化だ。
客観的にいえば、ここ数年、中国経済の内生的原動力が絶えず増強し、外資を含む外部要素の中国経済を促進する役割が弱まったが、これは外部要素が重要ではないということではない。反対に、外資導入を拡大することで、よりハイレベルの開放型経済を構築すれば、中国が国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国外の2つの循環が相互に促進し合う新たな発展局面の形成を加速させる上で、不可欠の役割を果たすことになる。