出産時に妊婦が死亡した医療事故を巡る訴訟で証人に偽証させた松田産婦人科医院(甲府市)の松田稔院長(64)=偽証教唆罪で有罪確定=に対し、遺族が事故の損害賠償と偽証に対する慰謝料計1億1600万円余を求めた訴訟は、東京高裁で8日、和解が成立した。遺族側弁護士によると、松田院長が1審・甲府地裁(04年1月)で命じられた1700万円以上を解決金として支払い、謝罪と哀悼の意を示すことなどが和解条項に盛り込まれたという。
地裁は事故の責任を認めず、偽証の慰謝料など1700万円の支払いを命じていた。
事故は山梨県白根町(現南アルプス市)の主婦、清水春美さん(当時32歳)が97年3月、同院で出産後に容体が急変、死亡した。遺族は医療ミスとして松田院長を提訴。松田院長は99年3月の口頭弁論で、事故当日非番だった看護師長(42)=偽証罪で有罪確定=に「診療に立ち会った」などとうその証言をさせた。【井崎憲、宇都宮裕一】
毎日新聞 2005年9月8日 21時31分