化学メーカー、石原産業の土壌埋め戻し材「フェロシルト」を巡る廃液不正混入問題で、三重県は5日午前、廃棄物処理法違反(委託基準違反)の疑いで、同社や四日市工場元副工場長を刑事告発した。それを受け、県警は来週、四日市工場や本社などの家宅捜索に踏み切り、一連の問題の全容解明に乗り出す。
三重県の調べでは、同社はフェロシルトを産業廃棄物と認識しながら、産廃処分業の許可がない業者に処分を委託した疑い。
東海3県と京都府に埋め立てられた70万トン超のフェロシルトについて、同社が子会社「石原テクノ」を通じ、1トン当たり150円で販売する際、用途開発費などの名目で、逆に約20倍の1トン当たり平均3000円払って売り先に譲渡していたことから、県はその契約が「逆有償」にあたり、経費は実質的に産廃処理費だったと判断した。
県は先月17日、本社や工場などに立ち入り調査したが、取締役会議事録の提出を拒むなど非協力的な姿勢を示した。さらに4日に行われた同県議会の参考人招致で田村藤夫社長が産廃との認識を否定し、逆有償についても「運搬費」と反論したため、事実関係の解明には県警による強制捜査が欠かせないと判断した。県警は告発を受け、関連会社を含めた一斉捜索に着手する。【田中功一、鈴木顕】