創部3年で高校生クイズの栄冠をつかんだ桜丘高校クイズ研究部=三重県伊賀市下神戸
昨年の全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)で、三重県伊賀市にある桜丘高校クイズ研究部の3年生ペアが初優勝を果たし、話題を集めた。創部してわずか3年で、全国の強豪校を抑えて栄冠をつかんだ理由を探るため、2連覇を目指して腕を磨く、クイズ研究部の後輩部員を訪ねた。
問題――。
「ヨーロッパ中心的文明観を批判した……」
ピーン。部員たちが手に握るボタンが押された。
「シュペングラー!」
今度は、正解の電子音が教室に鳴り響く。問題文から答えるまでわずか数秒。
「議会や裁判、オークションの……」「ギャベル!」。問題の途中で正解。問いは「(議会や裁判、オークションの)開始時などに使われる、たたいて静粛を求める木づちを何という?」と続くはずだった。
「解答ボタンを押してから、頭に残っている音声だけで問題文の構造を予想して、答えを導く感覚ですかね」。部長の東言(ごん)君(1年)が教えてくれた。
経験と知識の積み重ね。それが驚異的な解答スピードの土台にある。週5日の練習では、ひたすら実戦形式のQ&Aを繰り返す。「ボタンのタイミングや感覚は、実戦をこなさないと分からない」と言う。
夜は寝る前にベッドでクイズの教本をめくり、空き時間にはスマホのクイズアプリで全国のライバルと通信対戦する。分からない単語はネットで逐一調べてつぶしていく。
部は3年前に設立。大会の出場歴は浅く、難関進学校などと比べると知名度は劣る。だが昨秋、全国に衝撃を起こした。
テレビで全国放送された2017年の高校生クイズ。木多祐太君(3年)と中島彩さん(同)のペアが、開成(東京)など並み居る強豪を抑えて初優勝した。「信じられない出来事だった。広く校名を覚えてもらうきっかけとなった」と顧問の須田健市先生。
2人の引退後、東言君と2連覇の目標を託されているのが双子の兄、問(もん)君(1年)だ。ともに強豪のラサール中・高(鹿児島県)から転入した。クイズ番組への出演歴もあり、現在、付属中学も含む21人の部員を引っ張る。問君は「言と一緒に、高校生クイズで優勝する。それが最大の目標」。互いにライバルでもある双子が、もう一度、全国を驚かせる。(田中翔人)