和歌山県紀の川市の住宅地で市立名手小5年、森田都史君(11)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された中村桜洲容疑者(22)の自宅から押収された刃物3本は、いずれもブーメランのような形状で、殺傷能力が極めて高いタイプとみられることが9日、捜査関係者への取材で分かった。
岩出署捜査本部は、凶器として使用された可能性が高いとして、強い殺意があった証拠とみて調べている。中村容疑者は容疑を否認している。
捜査関係者によると、3本の形状は多少の差異はあるものの、刃体が約40センチ、厚さが最大約1センチと大型。ブーメランのように湾曲した形状のククリナイフに似ているという。ククリナイフは軍隊にも用いられ、殺傷能力がはるかに高いとされる。
ホームセンターなどでは入手が難しく、捜査幹部の一人は「インターネットで購入したのではないか」としている。捜査本部は押収した中村容疑者のパソコン2台を解析するなどし、入手経路を調べている。
3本は中村容疑者の自室の衣装ケースから、カバーに収められた状態で見つかった。事件現場の空き地からは、カバーで覆われた刃物のようなものを持った男が逃走している。
これまでの調べでは、中村容疑者の自宅のげた箱から血痕が3つ見つかり、うち1つが森田君のDNA型と一致した。
一方、和歌山県は同様の事件を未然に防ぐため、地域や警察で不審者情報を共有する仕組みづくりを検討することにした。仁坂吉伸知事は9日の記者会見で「社会全体での監視や措置を強化していかないといけない」と話した。〔共同〕