モラルと平等――2つの基本心得
経理社員にとって、仕事をするうえで最も大切なこと、それは「モラル」ではないかと私は考えます。「経理はモラルが9割」、そう言っても過言ではないかもしれません。それくらい、経理でモラルを保ち続けるというのは、年齢を重ねれば重ねるほど難しくなっていくのだろうと思います。
経理という仕事は営業のような花形ではありませんし、基本的に社員に好かれる部署ではありません。そして間違えないのが当たり前、営業のように成績によって特別ボーナスが出るわけでもありません。そうした環境のなかで、誠実で正しくあり続けるのは難しいことなのかもしれません。
経理はモラルが9割
私がモラルのあるなしを判断する1つの基準は、誰も見ていなくても普段と同じ言動ができているか、ということです。よく学校の先生がいなくなったとたんに掃除をやめて遊びだす生徒がいましたが、同じように、上司が帰ったとたん「あーあ、やれやれ」と伸び伸びしだしたりはしていないでしょうか。それは個人の自由といえば自由です。ただ、そのような人に、自分のお金を信頼して預けたいと思うでしょうか。それはそれ、これはこれ、という人もいるでしょうが、一緒なのです。
経理社員というのは、皆が「この人だったら自分のお金を預けてもきちんと管理をしてくれそう」と言う人でなければダメなのです。それでも納得できなかったら、こう考えてみるのはどうでしょう。いつも自信なさげに社内を徘徊している社長を見たら、「この会社大丈夫かな」と思いませんか。「こんな商品売っていられるか!」と営業社員が部長の帰った後にふてくされていたら、「この会社大丈夫かな」と思いませんか。
同じことなのです。「こんな計算、やっていられるか!」と心のなかでつぶやくのは大いに結構ですが、それを声高に叫んでストレス解消しているようでは、経理社員としてはふさわしくありません。そういう人からは、よい空気も結果も生まれません。
経理からよい空気を出すように心がける、それが経理社員の最低限のマナーです。
「この会社やばいよ」などの噂を見聞きする機会が、会社員なら1度や2度はあるはずです。それが営業社員や他の部署からの情報だったら、愚痴程度の認識で済みます。しかし、経理社員が一言「この会社やばいよ」などと言ったら、受け手は冗談とは受け取りません。「会社危ないのかな?」 と本気にしてしまう人も少なからずいるのです。社員をそのように不安にさせてはいけませんし、扇動もしてはいけないのです。
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