習慣はさまざま、経理のスタイルにも絶対はない
その習慣が当たり前だと思っていたのですが、大人になり、父の日の話題になったときに、父の日や母の日に何もしないという友達がいてびっくりし、さらにその場にいた人たちの半分くらいはそうだったと知って、2度びっくりしたことがあります。
そのことが正しい、正しくない、ということではなく、これが「普通」「当たり前」「常識」と思っていることも、それぞれが違う環境で育ってきていると、そうでないこともあるということです。自分が「絶対」と思うようなことも、「多分そうだろう」くらいにとどめ、ひょっとしたら自分の歩んできた道のなかではそうかもしれないけれども、別の人生を歩んできた人たちは違うかもしれない、という考え方でいつもいるほうが柔軟に物事に対応できるのではないでしょうか。
経理と一口に言っても、そのやり方は会社によって全て違います。人数、業種、使っている会計ソフト、これだけでも既に何10パターンの「経理組織」に分けられますから、そのパターンによって経理部の「戦術」も考えることになります。
そして、ここにもう1つ組織を構成するエッセンスがあります。会社の「歴史」です。
会社、業界、学校、部活、家系......。歴史のある組織には必ず、「伝統」というものがあります。それが現代にも通じる伝統であるか、今の時代に合わせた伝統に変えていくべきか、それを見極める必要があります。
時には「伝統」をポジティブにとらえる
「伝統」という言葉は、近年のビジネス書などでは「悪しき伝統」というように、ネガティブで硬直的なイメージで紹介されることのほうが多いかもしれません。正直なところ、私もそう思っていた時期もありましたが、そういう単純なことではないなと実感した出来事がありました。
ある会社で、月末近くになると、経理部門の人が2人、必ず一室にこもって1時間ほど出てこないことがありました。何をやっているのかなとあるとき聞いてみると、請求書の原本とそれをリスト化したものを、口頭で読み合わせているということでした。1人が「○○会社、○○円」とリストを読み上げて、もう1人が請求書の原本と内容が一致しているのを確認して、「はい」と応える。もちつきの掛け声のようにチェック作業をしていました。お互いの空いている時間を調整して、わざわざ時間を作って、いつも2人で1つの作業のチェックをしていたのです。
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