【コペンハーゲン=共同】デンマークの首都コペンハーゲンを襲った連続銃撃事件。15日に容疑者射殺が発表された後も厳戒態勢が続き、通りから人影は消えた。人々を不安と衝撃が覆っている。
容疑者の男が警察に射殺された市内のノアブロ地区。中東やアフリカ系移民が多く、コペンハーゲン市内で最も文化的に多様だといわれる場所だ。通りにはアラビア語の看板や中東料理のレストランが目立つ。
かつては治安が悪かった地区だが、近年、おしゃれなカフェやレストランが次々と開業し、特に若者に人気となっていた。一方で不良グループ同士のもめ事なども頻発していたという。
普段は市民でにぎわうという大通りも人影はまばら。街の至る所に警察車両が配置され、緊迫した雰囲気が漂う。トルコ料理レストランの男性経営者(41)は「住民は怖がって外に出ていない。多くの店が休業している」と声を落とした。
銃撃現場となったカフェとシナゴーグ(ユダヤ教会堂)前では、気温0度近い冷え込みの中、犠牲者追悼のため多くの市民が集まった。花束をささげて祈る市民の傍らで、銃を携帯した十数人の警官が周囲に鋭い視線を送る。
シナゴーグ前で犠牲者を悼んでいた経済学者のアンドルー・ムルボさん(29)は「この国でテロが起きる可能性があるとずっと思っていたけど、実際に起きてみると本当にショックだ」と言葉少な。「捜査機関は信頼しているが、いつ、どこで再びテロがあるか分からない」と深刻な表情で話した。