【ニューヨーク=西邨紘子】米食品医薬品局(FDA)は6日、米国で第1号のバイオ後続品(通常の薬の後発薬に相当)を承認した。日本や欧州では既に承認・販売されているが、米国では承認が遅れていた。今後、承認が増えれば、薬の値段が下がり、医療費軽減につながりそうだ。
FDAの承認を受けたのは米バイオ製薬大手アムジェンの好中球減少症治療薬「ニューポジェン」の後続品。欧ノバルティス傘下で後発薬事業を手掛けるサンドが開発した。同薬は米国外40カ国で販売されている。
バイオ医薬品は微生物や動物の細胞などを利用して作る。化学合成の薬と異なり、分子構造を完全に再現できない。米国では安全性の審査基準など承認の枠組み作りが遅れ、承認例がなかった。
バイオ医薬品はがんや自己免疫疾患の分野で高い効き目を持つ製品が増えている。開発・製造が難しく高価格になりやすい。医療費負担も重く、後続品の普及で負担が軽減すると期待される。2024年までに米国で11種のバイオ後続品が承認を受けた場合、計2500億ドル(約30兆円)規模の医療費を削減できるとの試算もある。
バイオ医薬品は今後、特許失効を迎える大型薬が多い。バイオ後続品は成長事業として注目されている。アムジェンは新たな収益源として13年にバイオ後続品事業への参入を表明。現在、複数の後続品を開発中だ。米業界最大手のファイザーも今年、バイオ後続品に強い米ホスピーラを約170億ドル(負債含む)で買収している。