内閣府が9日発表した2014年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.4%増、年率で1.5%増だった。速報値からそれぞれ0.2ポイント、0.7ポイント下方修正した。速報に比べ在庫の減少幅が大きかったため、計算上はGDPを押し下げた。個人消費は上方修正となる一方で、設備投資はマイナスに転じ、企業の慎重姿勢が続いている。
QUICKがまとめた民間の事前予測の中央値は前期比年率2.2%増だった。10~12月期は3四半期ぶりのプラス成長となったが、14年通年は実質で前年比0.03%減と東日本大震災があった11年以来、3年ぶりのマイナス成長だった。名目では1.6%増となり、名目が実質を下回りデフレの象徴とされる「名実逆転」は17年ぶりに解消した。菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で「景気回復の基調に変わりはない」と述べた。
速報値から下方修正となった大きな要因は企業が抱える在庫の減少だ。民間在庫の寄与度はマイナス0.2ポイントと、プラス0.2ポイントだった速報段階から0.4ポイント下がった。企業が増産の代わりに在庫を取り崩すと、計算上はGDPのマイナス要因となる。ただ在庫調整が進むのは需要が伸びているためで、景気循環上はプラス評価できる場合がある。
実際、10~12月期の個人消費は上方修正となった。速報値の前期比0.3%増から0.5%増に伸び、自動車や衣料品のほか、飲料などの売れ行きが良かったという。個人消費は昨年4月の消費増税後に落ち込んでいたが、2四半期連続で増加し、持ち直しの動きが出てきた。
ただ、企業は投資などに慎重な姿勢を崩していない。設備投資は前期比0.1%減と、速報値の0.1%増から0.2ポイント下がった。マイナスは3期連続となり、企業は計画段階では設備投資の上積みに意欲を示しているものの、実行段階になかなか至っていないことを示している。外需の寄与度はプラス0.2ポイントと速報値から変わらなかった。公共投資は速報値より0.2ポイント高い0.8%増だった。
物価変動を加えた名目GDPは前期比1.0%増、年率で3.9%増だった。速報値からはそれぞれ0.1ポイント、0.6ポイント下がった。物価動向を総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比で2.4%上昇した。速報値は2.3%の上昇だった。