楽天は12日、スマートフォン(スマホ)を使った自動車の相乗りサービスを手掛ける米リフト(カリフォルニア州)に3億ドル(約364億円)を出資すると発表した。リフトはマイカーを持つ個人と乗客を仲介するサービスを提供している。スマホを使った配車サービスの市場は急拡大しており、成長が見込めると判断した。
リフトは楽天などを引受先とする総額5億3000万ドルの第三者割当増資を実施する。増資引き受け後の楽天の持ち株比率は11.9%となる。リフトは昨年、中国の電子商取引最大手のアリババ集団からも出資を受けている。
リフトは米国の約60都市でサービスを展開し、ハイヤー配車アプリ(応用ソフト)の米ウーバーテクノロジーズとの競争が激しくなっている。増資で調達した資金をサービスの拡大や米国外への進出に充てる方針だ。
リフトのサービス「ライドシェア」は利用者がアプリで行き先を指示すると、周辺にいる運転手がマイカーに乗せて目的地まで運んでくれる。運転手は乗客から寄付金の形で対価を受け取る。タクシーより安い料金などが支持を得ている。
配車サービスを巡ってはソフトバンクが中国やインドなどのベンチャー企業に相次いで出資している。一方、法律への抵触や安全面での不安を指摘する声もあり、米国では当局がウーバーのサービスを禁じる地域が出ている。日本でも同社が2月から福岡市で始めた実験に対し、国土交通省が道路運送法に違反する恐れがあるとして中止を指導。ウーバーが実験を打ち切った。