【サンパウロ＝宮本英威】ブラジルの通貨レアルの下落が止まらない。サンパウロ外国為替市場では13日、前日比2.8％下落して１ドル＝3.2490レアルで取引を終えた。2003年４月以来のレアル安・ドル高水準。経済低迷に加え、有力政治家への不正献金疑惑の拡大に伴う混乱が嫌気されている。

レアルは３営業日連続で下落し、３月に入ってからの下落率は14％に達した。この日の取引時間中には一時、3.2815レアルまで下落する場面もあった。国営石油会社ペトロブラスを舞台にした汚職疑惑では、前官房長官ら与党の有力政治家が捜査の対象になった。ルセフ大統領への反発は強まり、15日には全国で反政府デモが計画されている。

経済も低調なままで、今年は0.7％程度のマイナス成長が見込まれる。資源価格の低迷で輸出不振は続き、投資も低調に推移しており、回復の兆しは薄い。

米国の利上げ観測を背景に世界的なドル高基調が続くなか、レアルの先安観は根強い。市場では「心理的な節目である3.5レアルを視野に入れる投資家が増えている」（外国銀行）との見方が出ている。