東京都渋谷区が公園の整備計画を進めるための行政代執行でテントなどの撤去を強行したのは違法だとして、反対団体などが約590万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁(沢野芳夫裁判長)は14日までに、「路上生活者の男性を無理やり担ぎ上げて退去させたのはやり過ぎだ」として、この男性へ11万円を支払うよう区に命じた。
判決によると渋谷区は2009年、年間1700万円の10年契約でスポーツ用品大手ナイキジャパンに同区の宮下公園の命名権を売却。整備費をナイキ側が負担して公園を改修する計画を立てた。しかし反対団体がテントを設置するなどして占拠したため、区は10年9月に行政代執行に踏み切り、テントを撤去。公園は11年4月にリニューアルした。
沢野裁判長は判決で、区とナイキジャパンとの契約は「一般競争入札を実施していない上、区議会で議決しておらず、地方自治法違反だ」と指摘したが、行政代執行自体に違法性はなかったと判断した。
判決後、原告側弁護団は「区が積極的に進めた契約を違法としたのは画期的だ」とコメントした。渋谷区は「判決内容を検討して適切に対応する」とした。〔共同〕