今年初めにギリシャの総選挙で急進左派連合が勝利を収め、一部の人々は、その勝利が欧州全体にポピュリスト(大衆迎合派)政党の影響力を高める先駆けになるだろうとみなした。緊縮経済や高失業率を背景に、反体制派の政治家が伝統的な二大政党制を崩壊させるかもしれない可能性を示唆した。
こうしたことが起こるかどうか確信を持って語るのはまだ早いが、週末に実施されたフランスとスペインの地方選挙の結果は、ポピュリスト政党が予想よりも厳しい状況にあることを自覚するかもしれないことを暗示している。そして主流政党の指導者たちはこの結果から教訓を得るべきだ。
■仏、スペインで躍進ならず
国民戦線のルペン党首。選挙日を迎え記者会見を開いた(22日)=AP
フランスではマリーヌ・ルペン党首が率いる極右の国民戦線(FN)が、県議会選挙の第1回投票で予想されたほどの結果を得ることができなかった。ほとんどの事前調査では、FNが昨年の欧州議会選挙で獲得したこれまでで最多の25%という得票率を少なくとも30%に伸ばすのではないかと予想していた。ところがルペン氏のFNはこれに失敗し、前大統領のサルコジ氏率いる中道右派の国民運動連合(UMP)に次いで2位となった。これは、ルペン氏が想定していた勝利とはほど遠いものだった。
スペインでは、そのような後退とはならなかったものの、反緊縮を掲げる急進左派政党ポデモスが左派の牙城であるアンダルシア州議会選挙で躍進できなかった。ポデモスの得票率が15%にとどまる中、社会労働党が大差で勝利した。アンダルシア州の失業率はスペイン国内で最も高く、地元の社会労働党が数百万ユーロにのぼる公的資金の不正使用を巡る疑惑に巻き込まれていることを考慮すれば、ポデモスは間違いなくもっとよい結果をもたらせたはずだ。
これらの結果は、欧州におけるポピュリスト政党の勢いがなくなったことを意味するものでは決してない。フランスではルペン氏は強力な選挙基盤を築いており、2017年の大統領選挙でも有力候補になると目されている。一方ポデモスには、アンダルシア州が社会労働党の牙城であり、ポデモスの地盤ではなかったことが慰めになる。それでもこれらの選挙結果は、中道左派政党と中道右派政党が、彼らを出し抜こうとする急進政党の動きにまだ対抗できることを示している。そして欧州の主流政党の指導者は、これら選挙結果から学ぶ有益な教訓がある。