東京都墨田区は2016年度に開館する予定の「すみだ北斎美術館」の建設費などの一部をふるさと納税で調達する。インターネットで小口資金を集めるクラウドファンディングを活用し、ふるさと納税の寄付を1日から募り始めた。寄付者には地域特産品などを贈る。ふるさと納税を通じ、新たな美術館に親しみを持ってもらうとともに、費用の一部を捻出する。
美術館はすでに着工しており、建設費や資料収集費などの一部に充てるため、16年度までに計5億円の寄付を集める方針だ。これまで絵画の一口オーナーなどを通じ、2億円余りの寄付の申し出を受けた。
今後はふるさと納税も寄付募集方法として取り入れ、15年度は1億5000万円を調達する計画。ふるさと納税の返礼品には江戸切子のグラスやつくだ煮の盛り合わせ、地元飲食店のクーポン券など約60点を用意した。
墨田区は江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の生まれ故郷で、90年に及ぶ生涯のほとんどを過ごした地。美術館は34億円を投じ、JR両国駅とJR錦糸町の間に建設している。
ふるさと納税は故郷など希望する自治体に寄付することで税金が軽減される制度。都道府県や市町村、東京23区が寄付対象になっている。