【シンガポール=谷繭子】3月23日に逝去したシンガポールのリー・クアンユー元首相が遺書で、自宅の取り壊しを主張していたことがわかった。元首相の長男でもあるリー・シェンロン首相が13日、国会で明らかにした。同国では保存を求める声が多いが、合理主義を重んじるリー元首相は用地の再開発を主張していた。
自宅は同国最大の商業中心地、オーチャード・ロードの近くにある一軒家。1945年から同氏が居住し、54年創設の現与党、人民行動党の設立事前集会も開かれた。リー氏は2011年出版の著書で「(自宅を)再開発すれば周辺の地価も上昇する」と述べていた。
ただリー氏と同居していた長女が当面は住み続けるため、首相は「政府はすぐに取り壊しを決断する必要はない」と国会で語った。