【ニューヨーク=共同】絶対に解けないと信じられていた第2次大戦当時のドイツ軍の暗号エニグマを解読した英国の天才数学者で、コンピューター科学の始祖とされるアラン・チューリングが暗号解読に挑んでいた当時の手書きのノートが13日、ニューヨークで競売にかけられ、102万5千ドル(約1億2千万円)で落札された。
チューリングは1954年、その功績が世間に知られることなく死亡した。チューリングを題材にした映画「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」は今年の米アカデミー賞脚色賞を受賞し、話題になった。
AP通信によると、42年に書かれたノートは全56ページ。複雑な数式が記録され、コンピューター科学の基本を思索した形跡が残っている。競売を実施したボナムス社によると、未公開で、現存する唯一のチューリングのノートとみられる。
チューリングは52年、同性愛行為を不品行とする罪に問われ、収監される代わりにホルモン治療を受け入れた。毒物の服用による死亡は自殺と判断されたが、家族は事故死と主張した。