【ソウル＝共同】ソウルでリッパート駐韓米国大使が刃物で襲われ負傷した事件で、殺人未遂罪と外交使節暴行罪などで起訴された金基宗被告（54）の事実上の初公判となる公判準備手続きが23日、ソウル中央地裁で開かれた。

韓国当局は、金被告は「北朝鮮追従勢力」の一員で、北朝鮮の影響を受けた人物から指示を受け大使を狙ったテロの可能性があるとみて捜査した。現在も国家保安法違反罪の適用を検討し捜査を続けているが、共犯者の存在は確認できていないもよう。事件は米国に反感を持つ金被告が単独で行ったとの見方が強まっている。

金被告は３月５日、ソウルでの会合に出席した大使に果物ナイフで切りつけた。大使は右頬に長さ11センチ、深さ３センチの傷を負った。検察は、傷がさらに１、２センチ深ければ頸動脈に達していたとして殺人未遂罪を適用した。

金被告は2010年７月にも当時の重家俊範駐韓日本大使に投石して逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。こうした前歴のある人物が米大使に刃物を持って近づいたことで韓国警察の警備態勢が批判された。