4月27日に発表された公式の調査によると、ギリシャのパートタイム労働者の4分の3が不完全雇用の状態にある。欧州連合(EU)の最も危機的状況にある地域の労働市場の悲惨さを際立たせる数値だ。
採掘労働者らが職の安定を求めるデモを起こした。約4000人が参加したという(16日、アテネ)=AP
EU統計局が毎年実施しているEU労働市場に関する世論調査によると、ギリシャのパートタイム労働者の72%余りが希望する労働時間を下回る労働時間しか働けていないと2014年に答えた。キプロスとスペインではその数値がそれぞれ66%と57%だった。
EU全体では、パートタイム労働者の5分の1以上にあたる980万人が不完全雇用で、そのうちの3分の2以上が女性だった。
この労働力調査により、欧州の労働者が直面する問題が浮き彫りとなった。加盟国28カ国のうち、9.8%にあたる2390万人が失業している。ユーロ圏では11.3%という原数値が域内の失業率の大きな格差を覆い隠している。
ドイツのオーバーバイエルンは実質的な完全雇用状態にあり、14年の失業率は2.5%だった。これとは対照的に、政治経済危機の打撃を最も受けている地域の一つであるスペインのアンダルシア地方の失業率は34.8%、また、ギリシャでは労働市場全体の4分の1余りが失業している。
原油安とユーロ安に加え、欧州中央銀行(ECB)がより積極的な金融政策を行っていることから、力強い回復への期待に拍車がかかったが、成長は依然として緩慢で信頼感も薄く、企業が多くの雇用を創出できるレベルには至っていない。
調査機関コンファレンス・ボードのバート・コリーン氏は「失業率は勇気づけられる数値になりつつあるとは言え、そもそもの出発地点が非常に低かった。これらの数値がそれを示しており、欧州の労働市場がいかに停滞しているかが分かる」と言う。
■利上げを先送りする可能性も
この世論調査から、この地域の金融政策立案者が地域への支援を決定する際には、景気低迷の程度または余剰労働力について比較考慮しなければならないという重要なことが読み取れる。
欧州中銀のスタッフによる最新予測では、同行のエコノミストは17年の失業率が9.9%になると予想しており、この予測は政策決定者が金利を記録的な0.05%の低金利から引き上げる検討を始める可能性を示唆している。ただし、域内のパートタイム労働者の大多数の不完全雇用状態が続く兆しがあれば、政策立案者らは利上げを先送りする可能性もある。
「不完全雇用のパートタイム労働者の数は最近の四半期には実のところ増加している。つまり、失業率は改善しているものの、市場の余剰労働力は実はまだ若干増え続けている」とコリーン氏は述べた。
今回の労働力調査からは、求職活動をあきらめた人々の割合が増加していることも明らかになった。13年にはEU全体で930万人が就労できる状態でありながら求職活動を行っていなかったが、それが14年には940万人になった。
また、調査から、イタリアの労働力は女性の就労が増えれば13.6%拡大する可能性があることも分かった。
By Claire Jones
(2015年4月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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