「毎月黒字なのにたまらないのはおかしいですよね……。いったい何がダメなんでしょうか」と言いながら相談に来られたUさん(40)はパートで働く主婦です。大手企業に勤める夫(44)と幼稚園年少の息子(4)の3人暮らしです。
毎月のやりくりを見せていただくと、確かに黒字です。2人で働いていて収入もあるのに、どうしてたまらないのかと思い、話を進めていくと、不思議な点が出てきました。
本来、毎月の収入で賄うべき教育費にボーナスや親からの援助を充てていた
まず、教育費です。4歳のお子さんは私立幼稚園に通っているのに、毎月の教育費はたった4000円。習い事や通信教育も利用しているそうなので、この金額で済むわけがありません。聞くと、4000円は幼稚園の給食費の分のみ。保育料や習い事、通信教育の費用は毎月の収入からではなく、親からの援助やボーナス、貯蓄から捻出しているというのです。
教育環境の良い幼稚園に通わせたくてUさんはパートを始めたのですが、それでも幼稚園の費用を支払うのが難しくなり、たまたま親が援助してくれたのをきっかけに、ボーナスなどでやりくりしようと考えたそうです。
毎月の保育料3万8000円に月決めの延長保育料1万2000円の合計5万円。それに習い事と通信教育代も加わります。しかも、学資保険の保険料や積み立て投信のお金もボーナスから出しているため、月8万6000円がボーナスから補填されている計算です。
夫のボーナスは年2回で、業績により手取り額は70万~85万円程度。月々の補填で毎回、50万円強は支払先が決まっていることになります。さらに、ボーナスの残りは夫の小遣い、帰省費用、旅行費用などになるため、ほぼ残らない状況です。これではお金はたまりません。
ほかにも、子どもが小さいのに食費が10万円近くもあることや、小遣いの額が高めなのを見て、やりくり下手だなと感じました。
食費が高い理由は3つありました。毎週1回5000円の予算で外食していること、できたての総菜を買って夕飯にすることが多いこと、息子のお弁当のために無添加食材を使った冷凍食品・レトルト食品を購入することが多いことがわかりました。夫の小遣いが7万円と高い理由は、クリーニング代、床屋代、昼食代、病院代など身の回りのこまごました支出も小遣いから捻出しているからだとわかりました。
毎月の収支は黒字と聞きましたが、それは間違いです。本来、毎月の収入で賄うべき支出や貯蓄を、ボーナスから出しているだけなので、実質は毎月赤字なのです。つまり「やりくりしているつもり症候群」だったのです。見た目は整っていても、これでは仮面をかぶっているだけです。